2012年9月27日木曜日

稲わらの放射能測定

稲わらの放射能測定


農家さんのご協力で、24年度に収穫した「稲わら」が入手できたので、放射能を測定してみました。



 ①乾燥稲わら
   阿賀野市小浮で採取した「稲わら」を電子レンジで加熱して風乾後にミキサーで粉砕し、1リットルマリネリ容器に充填してNaIシンチレーションカウンター(AT1320A)で40000秒測定。

  粉砕した「稲わら」はスポンジ状となり、 容器に充填するのが困難でしたが、約350グラム程度充填できました。


②炭化稲わら
  「稲わら」に含まれる放射性セシウム濃度を高めるために、放射性セシウムが飛散しない低温(約250度)で乾燥稲わらを炭化(蒸し焼き)。 「炭化稲わら」を再度ミキサーで粉砕し、1リットルマリネリ容器に充填して40000秒測定。
 




測定結果

試料名 採取日 測定日 測定重量 Cs137
(Bq/kg)
Cs134
(Bq/kg)
放射性K40
(Bq/kg)
乾燥稲わら 2012-09-20 2012-09-21 353g 検出限界未満(<3.5) 検出限界未満(<3.3)   386
炭化稲わら 2012-09-20 2012-09-22 247g 検出限界未満(<5.2) 検出限界未満(<5.0)   960

放射性セシウムは全て検出限界未満でした。
「炭化稲わら」の放射性カリウム40の濃度が、「乾燥稲わら」の2.49倍に濃縮されているので、放射性セシウムも同率で濃縮されると仮定すると、乾燥稲わら換算で放射性セシウムの検出限界値がいずれも2.0 Bq/kgとなり、「乾燥稲わら」に含まれるセシウム137とセシウム134の合算は4.0Bq/kg未満と推測できます。 なお、土壌から白米には稲わらの1/5 程度の放射性セシウムが移行するという報告がありますので、この白米に含まれている放射性セシウムは 1Bq/kg未満となります。

※放射能濃度が低く、かさ高い検体は、そのままでは充填密度が低くなるので、本来は電気炉等で低温灰化した後に酸抽出により濃縮測定するのが望ましいのですが、そのような設備がありませんので上記のような変法を使用しました。

 
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   あがのラボ (あがの市民放射線測定室) 担当:村上
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2012年9月23日日曜日

かんがい用水路の堆積泥調査(その2)

かんがい用水路の堆積泥調査(その2)

 

    用水路堆積泥の追跡調査(9/2〜9/15)を実施しました(4地点)。 検出限界値を超えた放射性セシウムが検出されなかった阿賀野市熊堂村新田の用水泥を再度サンプリング(9/27)し、再検討しました!  


 6月に採取した用水路と同地点で堆積泥を採取し、 前回と同様に天日乾燥後にふるいにかけ、異物を除去した後、1リットルのマリネリ容器に充填し、5000秒〜10000秒測定! その結果、阿賀野市熊堂村新田で採取した用水堆積泥を除いた3地点で全ての地点で前回と同レベルの放射性セシウムが検出されました。 
     放射能濃度の増減は認められるものの、大きな変化はありません

 

試料名 採取日 測定日 放射性Cs合計値
(Bq/kg)
用水路堆積泥(阿賀野市沖通) 2012-09-02 2012-09-10    130
用水路堆積泥(阿賀野市沖通) 2012-06-23 2012-06-30    191
用水路堆積泥(阿賀野市熊堂村新田) 2012-09-27 2012-09-30    277(訂正)
用水路堆積泥(阿賀野市熊堂村新田) 2012-06-23 2012-06-30    241
用水路堆積泥(阿賀野市法柳新田) 2012-09-15 2012-09-18    145
用水路堆積泥(阿賀野市法柳新田) 2012-06-28 2012-06-30    161
用水路堆積泥(新潟市北区上大月) 2012-09-02 2012-09-06    415
用水路堆積泥(新潟市北区上大月) 2012-06-28 2012-06-30    371

   阿賀野市熊堂村新田に関しては、サンプリング地点を間違えたために生じた単純ミスです。申し訳ありません!(夏草で用水路全体が隠れていたために、別の地点から採取してしまいました。)




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2012年9月14日金曜日

測定結果(9/7〜9/14)

測定結果(9/7〜9/14)

 スーパーで安売りしていた「もも果汁飲料」から放射性セシウムが検出されました! 

 

もも果汁入飲料


試料名 採取日 測定日 放射性Cs合計値
(Bq/kg)
明治ブルガリアヨーグルト(宮城県東北工場) スーパー購入 2012-09-10 検出限界未満(<2.7)
雪のふる里低脂肪乳(南魚沼市・KK雪里) スーパー購入 2012-09-10 検出限界未満(<3.0)
北の草原牛乳(燕市・原田乳業) スーパー購入 2012-09-11 検出限界未満(<3.0)
白米(北越後コシヒカリ 新発田市23年産) スーパー購入 2012-09-12 検出限界未満(<3.4)
35%もも果汁入飲料(ヤマザキ) スーパー購入 2012-09-14     3.0


    セシウム137のみ検出! セシウム134は検出限界未満でした。 なお、測定時間 50,000秒の検出限界値は、セシウム137(1.4 Bq/kg)、セシウム134(1.3 Bq/kg)
    原材料に使用されている桃は国内産ですが詳細な産地は不明! (山梨、福島、長野県の3県で桃の生産量の65%を占めています。)
    35%もも果汁入飲料の1缶(350ml)に、約1ベクレルの放射性セシウムが含まれている計算になります。 また、原材料の桃は 8〜9 Bq/kg程度のセシウム濃度と推測できます。



  なお、JA新ふくしまでは、NaIシンチレーション検出器を用いて出荷前農作物の放射性物質自主検査を実施しています。 ただし、測定時間30分で検出限界 セシウム137 10Bq/kg、セシウム134 10Bq/kg、セシウム合算 20Bq/kgという極めて緩い条件で測定しています。 JAが独自に自主検査することは評価に値しますが、基準値(セシウム合算で100Bq/kg)を超えていないという根拠で放射性セシウムが含まれている農作物を市場に出荷していることは、生産者の姿勢が疑われます。 到底、「風評被害」の払拭には効果は無いでしょう! 



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2012年9月6日木曜日

公開を条件に無料で測定します

自然計数の低減

 

  測定装置の下部の鉛遮蔽を7月末に強化しました。 この結果自然計数が30%程度減少し、以前より短時間で低レベルの放射能を定量できるようになりました。

   ようやく気温が下がって測定に適した季節になりました。 猛暑の中では、測定室と測定器を一定の温度に保つことは困難でしたので、測定は気温の下がった深夜にのみに実施していました。 今後は、エアコンの能力で充分に温度をコントロールできますので、測定数を増やしてゆく予定です。

   「あがのラボ」では、測定結果の公開を条件に完全無料で測定しています。 食品等を測定したいとお考えの方は気軽にご連絡ください!(「放射能無料検査申込書」をダウンロード/プリントして必要事項を記入の上で検体と一緒にご持参下さい。)


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測定結果(8/10〜9/6)

測定結果(8/10〜9/6)

 

試料名 採取日 測定日 放射性Cs合計値
(Bq/kg)
用水路堆積泥(阿賀野市沖通)※1 2012-09-02 2012-09-06     130
用水路堆積泥(新潟市北区上大月)※1 2012-09-02 2012-09-06     415
周回水路堆積泥(瓢湖・さくら池)※2 2012-08-07 2012-08-11     360
畑土壌(阿賀野市外城町) 2012-08-28 2012-09-01       12
本つゆ(キッコーマン) スーパー購入 2012-09-01 検出限界未満(<2.7)
味ぬか(チヨダ) スーパー購入 2012-08-10 検出限界未満(<3.9)
猫エサ・ミオ(日本ペットフーズ) ※3 スーパー購入 2012-08-27 検出限界未満(<9.4)
猫砂(ライオン)  ※3 スーパー購入 2012-08-27 検出限界未満(<4.6)

   ※1  定点測定】:前回の測定値(6月末採取試料)は、191 Bq/kg(阿賀野市沖通)371 Bq/kg(新潟市北区上大月)で、大きな変動は認められず、用水路堆積泥のセシウム汚染は継続している。
   ※2  定点測定前回の測定値(6月末採取試料)484 Bq/kg(C地点)からの大きな変動はない。
         ※3      牛、馬、豚、家きん(にわとり、うずら)、養殖魚に与える動物用飼料に放射性セシウム暫定許容値が設定されていますが、ヒトと密接に接する機会が多い犬猫などのペット(愛玩動物)のエサに関する基準値は定められていない。


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2012年8月5日日曜日

食品類の測定結果

食品類の測定結果

 

試料名 採取日 測定日 放射性Cs合計値
(Bq/kg)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-20 2012-05-20 検出限界未満(<4 .8)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-21 2012-05-21 検出限界未満(<4 .2)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-25 2012-05-25 検出限界未満(<4 .6)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-28 2012-05-28 検出限界未満(<4 .5)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-30 2012-05-30 検出限界未満(<4 .3)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-06-22 2012-06-22 検出限界未満(<4 .3)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-07-07 2012-07-07 検出限界未満(<4 .0)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-08-01 2012-08-01 検出限界未満(<3 .8)
天然水南アルプス(サントリー) スーパー購入 2012-07-01 検出限界未満(<3 .8)
新潟県産こしいぶき スーパー購入 2012-07-07 検出限界未満(<3 .5)
コシヒカリ(新発田市) スーパー購入 2012-05-18 検出限界未満(<4 .0)
たけのこ(阿賀野市) スーパー購入 2012-05-21 検出限界未満(<9 .6)
ジャガイモ(胎内市) スーパー購入 2012-08-01 検出限界未満(<4 .1)
オレンジ(カルフォルニア) スーパー購入 2012-05-28 検出限界未満(<4 .6)
麦茶パック(ひたちなか市) スーパー購入 2012-08-03      11


スーパー購入の「麦茶パック」から、11 Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。 麦茶の原料となる「二条大麦」「六条大麦」は、栃木、茨城、群馬等の関東地方と九州、北陸で生産されており、茨城県の検査によると「平成24年度産大麦」は検出限界値以下ですが、福島原発事故直後の「平成23年度産大麦」から放射性セシウムが検出されています。

「麦茶パック」のメーカーに該当商品の原材料及び生産年、放射能検査体制を問い合わせたところ、該当商品は「茨城県平成23年度産大麦」を使用しており、麦茶原料麦に関しては全国麦茶工業組合および自社にて独自検査を実施しているとの回答がありました。

通常、麦茶は「麦茶パック(約10グラム)」を1リットルの水を使用して、水出し・煮出しにて作成しますので、麦茶パック中に含まれる放射性セシウムが全て溶出すると仮定すると、飲料に供する「麦茶」1リットル中に放射性セシウム 0.11 Bqが含まれることになります(実際の溶出率はもっと低いのでセシウム濃度もさらに低くなる)。 いずれにしても、麦類はコメと同様にセシウム汚染が確認されていますので大量に飲料する「麦茶」「麦茶パック」購入の際には原材料の産地確認が必要です。


粉末麦茶
麦茶パック(約50パック)から粉砕麦茶を取り出し、
ミキサーで粉末状に加工した後に、マリネリ容器に充填


全国麦茶工業組合
県内産麦の放射性物質検査の結果 (茨城県) 平成24年(2012)度産
県内産麦の放射性物質検査の結果 (茨城県) 平成23年(2011)度産


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2012年7月24日火曜日

湖沼の放射能調査(その1)

湖沼の放射能調査(その1)

 

新潟県は福島原発事故による直接的な放射性セシウム汚染は低かったものの、阿賀野川の上流部に位置する福島県の只見川・阿賀川水系の放射性セシウム汚染の影響を受け続けている。 放射性セシウムは泥成分に吸着し、阿賀野川河川水と阿賀野川から取水したかんがい用水と共に下流域に移動し、水田・畑・湖沼などに及んでいると考えられるが、その実態は充分に調査されていないのが現実です。

あがのラボでは、今後も長期間継続すると思われるセシウム汚染の影響を予測するために、現時点での汚染の実態を把握する必要があると考えて、これまでに「阿賀野川河川敷堆積物」「用水路堆積泥」などを調査してきました。 今回は、泥成分が沈降しやすい湖沼を対象に放射能調査を実施しました。   調査した地点は、かんがい用水と一般河川水が混合流入している内沼(新潟市北区)十二潟(新潟市北区)、かんがい用水の直接流入が認められない瓢湖・さくら池(阿賀野市)及びじゅんさい池(阿賀野市)


採取地点



より大きな地図で 湖沼の放射能調査 を表示

 

測定結果

 

直接にかんがい用水の流入が認められない①瓢湖②瓢湖・さくら池(人工池)③じゅんさい池(ため池)では、堆積物中の放射性セシウム濃度は「検出限界未満」〜31 Bq/Kg(乾燥泥)と予想されたように低い値でした。 ただし、NaIシンチレーション測定器を用いたγ線スペクトル上にCs-137と共にCs-134のピークが明確に確認できないので、放射性セシウム汚染の原因が福島原発事故に起因するかは判断できませんでした
汚染度が低く「検出限界未満」となった②瓢湖・さくら池に関しては完全閉鎖系でその水源は天水(降雨)のみですが、①瓢湖と③じゅんさい池には河川水や沢水の流入が認められますので、今後も放射能濃度の継続測定が必要と考えています。

   かんがい用水と一般河川水の流入が認められる④内沼⑤十二潟では、閉鎖系と比べて汚染度が高くなっていると予想していましたが、実際には77 Bq/Kg(乾燥)と「検出限界未満」という低い値に留まっています。 ④内沼と⑤十二潟の底質泥を採取できる場所が流出口付近に限定されたため、沼や潟の上流部や中央部の底質泥汚染の程度は未調査なので断定できませんが、面積の狭い④内沼では水域の広い⑤十二潟よりセシウム汚染が進行しているものと考えられます。   

測定結果


さくら池周回水路の汚染状況

 

瓢湖さくら池周回水路のセシウム汚染が明らかとなりました

図に示したように瓢湖の4つの池(瓢湖本池、東新池、さくら池、あやめ池)を縦貫してかんがい用水路が流れていますが、直接に用水路水は瓢湖には流入していません。 しかし、用水路からの取水栓が中央部に存在し、さくら池周回水路にかんがい用水の一部が流れていることが分かりました。

  周回水路の上流部から下流に向かってA、B、C地点から堆積泥を採取し測定したところ、いずれの地点からも放射性セシウムが検出され、しかも下流部の方が高濃度に汚染されていることが判明しました。

この周回水路ではかんがい用水路と比べて極端に流れが悪くなるため、放射性セシウム吸着泥が堆積しやすい環境にあるものと考えられます。
上流部より下流部の方が放射能濃度が高くなっているのは、去年の福島原発事故直後に堆積した高濃度に汚染された泥が徐々に下流に移動したためと推測しています。

さくら池周回水路の下流部は住宅に隣接していますので、住民への注意喚起が必要と考えます。


      (A地点):さくら池周回水路堆積泥  138 Bq/kg 
    (B地点):さくら池周回水路堆積泥  307 Bq/kg 
    (C地点):さくら池周回水路堆積泥  484 Bq/kg



瓢湖採取地点

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