2015年8月3日月曜日

水煮タケノコ(福島県南相馬市 平成27年産、非流通品)

水煮タケノコ(福島県南相馬市 平成27年産、非流通品)

      原発事故後4年経過した現在でも、タケノコの出荷制限は福島県内で11市6町5村(福島市、二本松市、伊達市、本宮市、郡山市、須賀川市、田村市、白河市、相馬市、南相馬市、いわき市、桑折町、川俣町、三春町、広野町、楢葉町、新地町、大玉村、西郷村、川内村、葛尾村)、岩手県内3市(一関市、陸前高田市、奥州市)、宮城県2市1町(白石市、栗原市、丸森町)、茨城県10市3町1村(石岡市、龍ヶ崎市、北茨城市、取手市、ひたちなか市、潮来市、守谷市、鉾田市、つくばみらい市、小美玉市、茨城町、大洗町、利根町、東海村)、栃木県4市1町(日光市、大田原市、矢板市、那須塩原市、那須町)、千葉県7市2町(木更津市、柏市、市原市、船橋市、八千代市、我孫子市、白井市、栄町、芝山町)で継続しています。

     今回、出荷制限されている福島県南相馬市産の「水煮タケノコ」 を入手測定しました。 タケノコは自家消費目的で生産者が生タケノコをアク抜き後水煮処理したものですが、残念ながら放射性セシウム(Cs137+Cs134)が完全には抜けきらずに残っていました。


前処理:水煮タケノコをミキサーで細断し、500 ml 測定用平型容器に充填し、NaIシンチレーション式
検出器で50,000 秒測定(2015年5月14日測定)





タケノコのアク抜き・水戻しによる放射性セシウムの低減効果について

      タケノコのアク抜き・水戻しにより放射性セシウム濃度が最大80%も低減すると報告されていますが、方法によっては効果がさほど見られない場合もあるようです。 例えば、アク抜きを切れ目を入れた皮付きのままで実施した場合には、皮を取り除いたタケノコより放射性セシウムの抜けが悪く、更にアク抜き後の水戻しが不十分な場合は、アク抜き時に煮汁に溶け出した放射性セシウムがタケノコ本体から抜け切らないことも報告されています。 長時間のアク抜き・水戻しを徹底すれば放射性セシウムの低減は確かに期待できますが、タケノコ本来の風味も失われます。
    いずれにしろタケノコをアク抜き水戻しを実施しても完全には抜け切らなことは明らかで、春の恵みを食するか否かは個々人の判断に任されています。



  ★連絡先
   あがのラボ (あがの市民放射線測定室) 担当:村上
           0250-62-3102  /  080-3208-6563
   E-mail  : purplenao@gmail.com
   Twitter  : @purplewatch
   Facebook : http://www.facebook.com/nao.purpleswan

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2015年8月2日日曜日

浄水場発生土中の放射性セシウム(阿賀野川と信濃川)

浄水場発生土中の放射性セシウム

      福島第一原子力発電所事故の発生後から新潟市水道局では浄水場発生泥中の放射性セシウム濃度(Bq/kg)をモニタリングしている。   信濃川水系の河川水を水道源水に利用している戸頭浄水場では2014年の冬で中断しているが、福島県会津地方に直結している阿賀野川水系の河川水を利用している満願寺浄水場では調査が継続している。

    汚染地帯を源流とし流域に汚染地帯を抱える阿賀野川では、事故後4年以上経過しても河川水に含まれる「濁り成分」に含まれる放射性セシウム濃度はこれ以上低減する傾向は見られず約100Bq/kg程度で推移している。   このデーターから事故の影響は想像以上に長期に渡ることは明らかで、今後も監視が必要となっている。

   河川水を介した放射性セシウムの移動は、新潟県内の阿賀野川や信濃川に限らず福島県や関東圏の多くの河川で観察されており、河川水を農業用水や水道源水に利用している限り充分なモニタリングと推移に注目する必要がある。




   

2015年8月1日土曜日

「新潟県南魚沼市六日町」の土壌汚染

「新潟県南魚沼市六日町」の土壌汚染

    新潟県内で汚染度が最も高いと地域と考えられている「南魚沼地域」の状況を把握するために原発事故から4年を経過した2015年7月7日に、幾つかの土試料をサンプリングし放射性セシウム濃度(Bq/kg)を求めてみた。

サンプリング地点と測定結果

◎「沿道土壌(国道17号線)」:放射性セシウム合算 762 Bq/kg
◎ 「用水路堆積泥」:
放射性セシウム合算 436 Bq/kg
◎ 「一般土壌(神社表層)」:
放射性セシウム合算 138 Bq/kg
◎「河川敷土壌(魚野川)」:放射性セシウム合算 45 Bq/kg

    魚野川の「河川敷堆積土」は45 Bq/kgで「阿賀野川河川敷土」と比べて低い数値を示したが、神社から採取した「一般土壌」や「用水路堆積泥」、国道17号線の両脇に堆積した「沿道土壌」では阿賀野市や新潟市と比較して高い数値を示した。   南魚沼市六日町地域では、原発事故発生時に広い範囲が中程度に汚染され周囲の表層土が降雨により魚野川へと流れ込み底質土として堆積し、魚野川河川水を利用した農業用水路を介して水田に放射性セシウム汚染泥が現在も供給されているものと推測できる。


 「沿道土壌」の比較  :「南魚沼市六日町」と「新潟市」

       南魚沼市六日町で採取した「沿道土壌」で 762 Bq/kgと高い汚染を確認した。 「沿道土壌」には周囲から自動車等により汚染土が運搬され放射性セシウムが集積する傾向があり、阿賀野市の事例のように道路近隣の「一般土壌」で放射性セシウムが検出されない場合でも遠距離の汚染地域からの運搬により幹線道路の「沿道土壌」から放射性セシウムが検出されることが多々ある。 
      幹線道路は市街地の住環境に隣接しており「沿道土壌」が乾燥時に周囲に埃を舞い上げる発生源となっており、放射性セシウムの汚染拡大や将来に継続する被曝防止の観点で重要な対象と考えている。
 




  同時期に新潟市と南魚沼市六日町で採取した「沿道土壌」を比較してみると、と南魚沼市六日町の方が70倍程度汚染度が高く新潟県内では南魚沼地域の汚染が際立っていることが再確認できた。 一方、新潟市では住環境における「一般土壌」の汚染は極めて低く、移動や濃縮が発生すると考えられる「沿道土壌」に於いても低いレベルに留まっていることが判った。