2012年11月22日木曜日

土壌試料調製マニュアル

土壌試料調製マニュアル


  土壌サンプルの測定依頼が増加しており、試料調製に関するお問い合わせが多数寄せられております。
 
 「あがのラボ」では、以下の様な土壌試料調製法を用いていますので、参考にして下さい!  土壌の粒度土壌中の水分や異物が測定容器への充填度及び放射能測定値に影響を与えますので、充分な乾燥粒度の均一化が必要です。

① 採取した土壌をトレー上に4〜5枚重ねた新聞紙に広げ、天日乾燥(風乾)。 雨天や冬場には新聞紙に包んで屋内に放置。 時間がない場合には、電子レンジ加熱、フライパン・鍋等に入れての加熱乾燥も可能です。
② 土壌の塊を移植ゴテ等により細かく砕き、乾燥を促進する!
③ 目視で大きな異物(木の葉、木の枝、草、小石など)を確認したら取り除く!
④ 乾燥がある程度進んだら、ふるいにかけて土壌粒度を均一にする。
⑤ 移植ゴテ等で上下を混和して土壌の色が均一になるまで乾燥!
⑥ 乾燥土壌をビニール袋に回収する。
  ※パウダー状になった土壌は風で飛散しやすいので作業者は注意を払って下さい!




  ★連絡先
   あがのラボ (あがの市民放射線測定室) 担当:村上
           0250-62-3102  /  080-3208-6563
   E-mail  : purplenao@gmail.com
   Twitter  : @purplewatch
   Facebook : http://www.facebook.com/nao.purpleswan

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2012年11月13日火曜日

冬に向けての定期点検

測定器のメインテナンス中


   気温が下がって、間もなく冬到来の季節となりました。 現在「あがのラボ」では冬期間の測定室気温低下に対応するため、エアコンの設定温度を18±2℃に変更しました。 これに伴い、γ線測定器の自然計数を再測定しています。

   今回より、検出限界値をより低減する目的で自然計数の測定時間を40,000秒に延長しました。 予定ではCs-134、Cs-137の検出限界が<1Bq/kgとなるはずです。 更に、来春には低レベル放射能検出を短時間で行えるように遮蔽の強化を計画しています。





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2012年11月1日木曜日

土壌汚染調査(その1)

土壌汚染調査(その1)


  福島原発事故による土壌の放射能汚染を調査するため、阿賀野市及び周辺地域の土壌を採取し放射性セシウムの放射能濃度を求めてみました。

   土壌採取は、土壌表面が農作業により撹拌される畑や水田を避けて、居住地近くにある神社等を選んで、数点からの表面土(〜深さ5cm)を採取した。
  比較対象として、福島県に近く、きのこ等のセシウム汚染が確認されている阿賀町の土壌も調査した。


 測定結果

    阿賀町鹿瀬で採取した土壌からは、放射性セシウムのCs-137Cs-134が検出され、福島原発事故による汚染が確認できた。 一方、その他の地点では放射性セシウムは検出限界未満か検出されてもCs-137のみで、直接的な福島原発事故の影響を確認できなかった。 検出限界未満となった地点のγ線スペクトル上には僅かではあるがCs-137の存在が確認できるので、Cs-137の起源は過去の原爆実験やチェルノブイリ事故によるものと推測している。

    現時点では、阿賀野市の一般土壌に関しては明確な福島原発事故による汚染が認められていないが、阿賀野市に隣接する阿賀野川河川敷の汚染かんがい用水路に堆積する汚泥の汚染が確認されているので、それらの移動拡散による二次汚染に注意を払う必要がある。
    
   
                            測定時間:30,000秒
土壌採取地点 採取日 測定日 放射性セシウム合算
(Bq/kg(乾))
阿賀野市寺社 2012-10-09 2012-10-18     33
阿賀野市上江端 2012-10-15 2012-10-18     20
阿賀野市里 2012-10-19 2012-10-23     15
阿賀野市小松 2012-10-24 2012-10-29     15
阿賀野市大室 2012-10-03 2012-10-06     13
阿賀野市田山 2012-10-22 2012-10-26       9
阿賀野市中央町 2012-10-15 2012-10-19 検出限界未満(<3.0)
阿賀野市中島町 2012-10-17 2012-10-19 検出限界未満(<3.0)
阿賀野市山口町 2012-10-19 2012-10-22 検出限界未満(<3.0)
阿賀野市月崎 2012-10-19 2012-10-22 検出限界未満(<3.2)
阿賀野市関屋 2012-10-22 2012-10-25 検出限界未満(<3.2)
阿賀野市小浮 2012-10-15 2012-10-20 検出限界未満(<3.0)
阿賀町石間 2012-10-24 2012-10-29     10
阿賀町鹿瀬 2012-10-24 2012-10-28     74
                              ※Cs-137のみ検出






解説
   土壌や井戸水等の検体を測定する場合に、検体中に含まれる天然の放射性核種(Bi-214、Pb-212、Tl-208など)が放射性セシウムのγ線エネルギーと似かよっているために誤検出を生じることがあります(下図参照)。
   天然核種と比べて大量に放射性セシウムが含まれている場合は、天然核種の妨害があっても有意に放射性セシウム濃度を求めることができますが、含まれている放射性セシウムが相対的に少量の場合に天然核種(特にCs-134のγ線エネルギーと似かよったBi-214)の影響が出てしまいます。

   今回の測定でもBi-214の影響のため誤検出(Bi-214をCs-134と間違ってしまう現象)が発生しました。「あがのラボ」では解析結果に表示された数値を評価する際に必ずγ線スペクトルを見て判定しています。
  


  今回の土壌サンプルの多くは、Cs-134が検出されずCs-137のみが検出されました。 下図に示したのは、土壌中に含まれるBi-214がほぼ同じで、Cs-137のみが異なる場合のγ線スペクトルです。   現時点では、半減期2年のCs-134が完全に消えていませんのでCs-134とCs-137が同時に検出されることを根拠に福島原発事故の影響を確認できますが、数年後にはCs-134の検出が困難となり、対象核種がCs-137のみとなってしまい、「原発事故による汚染だ!」という言及もできなくなってしまいます。 その意味で、早期の汚染実態調査が重要になっています。




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