2013年10月13日日曜日

阿賀野川堆積泥、用水路堆積泥(2012〜2013)

阿賀野川堆積泥、用水路堆積泥(2012〜2013)


 昨年度に引き続き、阿賀野川河川敷堆積泥と用水路堆積泥の定点測定を実施した。

 阿賀野川河川敷堆積泥

2013年9月に、阿賀野市安田運動公園脇の右岸阿賀野市下里(新潟市満願寺浄水場対岸)右岸から、河川敷に堆積した泥を採取し、乾燥後にふるいに掛けて異物を取り除いた試料を作成し測定検体とした。 今回の試料採取は台風18号の影響で阿賀野川の増水が発生した後に実施した。

   福島第1原発で放出された放射性セシウムは、阿賀野川上流域の会津地方に降り注ぎ土壌に沈着し、2011年7月に発生した「新潟福島豪雨」によって下流に運ばれて、増水によって冠水した阿賀野川下流域の河川敷に堆積したと考えられている。

   「新潟福島豪雨」以後は、下流域の河川敷が冠水する程の増水が発生していないので、堆積した泥の中の放射性セシウムは徐々に物理的半減期に従って減少傾向にあったが、2013年9月の台風18号による増水で新たに河川敷が泥によって覆われることになった。 増水の直後にサンプリングした2地点の放射能濃度は約270 Bq/kg と大幅に増加した

  福島原発事故から既に2年半も経過しているが、阿賀野川を介した放射性セシウムの移動は今もなお発生しており、大雨時には河川の混濁により大量の高濃度汚染泥が運ばれて来るものと考えられる。


用水路堆積泥

  2012年に引き続き、2013年6月と10月に阿賀野市法柳新田、新潟市上大月、阿賀野市熊堂、阿賀野市沖通の4地点から支線用水路に堆積している泥を採取し、含まれている放射性セシウム濃度を求めた。
  阿賀野市沖通の放射性セシウム濃度は2013年に急激に減少しているが、他の3地点は減少が少ないか、逆に増加している地点も存在した。
 これらの支線用水路は幹線用水路から距離があり、流速も遅いことが確認されているので、用水路水と共に運搬されてきた泥成分が沈殿しやすい状況にあるのは確実と考えられる。 しかし、阿賀野川から取水された用水に含まれる泥成分が、どの位の時間で末端支線水路に移動しているのかは不明であるため、観察された放射性セシウムの濃度変化の解釈は難しい!

 

  今回の2013年10月サンプリング時に、通常は大量の水が流れている「新江用水路」に通水が止められていたので、幹線用水路に堆積している「泥」を採取することができた。

  その放射能は、放射性セシウム合算で 65 Bq/kg と予想より低く、「新江用水路」の支線となる阿賀野市法柳新田の放射能 233 Bq/kg と比べても1/4となっていた。 このことは、一旦、流速の遅い支線用水路に入って沈殿した「泥」成分は、かなりの時間をかけてゆっくりと下流に押し流されている可能性が大きい。 
 今後、同一用水路の上流から下流に向かって放射性セシウム濃度の変化を追跡する予定。 






 

2013年8月27日火曜日

道路を介したセシウム移動(沿道土壌調査)

沿道土壌調査


  「あがのラボ」では阿賀野市内の国道49号線(若松街道)、国道290号線、県道27号線、県道55号線、県道255号線などの沿道に堆積している土壌および、道路に隣接する近傍の土壌を採取し、土壌中の放射性セシウムの濃度を調べている。     

   この調査の目的は、放射性物質が雨や風などの自然現象だけでなく、道路を介した車の移動によって汚染地帯から非汚染地帯へと移動・拡散すると予測できるので、福島県の会津地方に近い位置にあり発災当時には一般土壌の汚染が極めて低い阿賀野市内にどのくらい道路を介した放射性物質の持ち込が発生しているのかを明らかにすること。



サンプリング地点と放射能濃度(Bq/kg)

沿道土壌(黄色)、近傍土壌(緑)


 沿道土壌には、福島原発由来の放射性セシウム(Cs-137、Cs-134)が検出されるが、近傍の土壌からは殆ど検出されないことから、道路の両端には周囲よりも多量の放射性セシウム(Cs-137、Cs-134)が存在することが判ってきた。 

 沿道土壌に含まれる放射性セシウム濃度は、<160 Bq/kg程度で道路の交差点や坂道の下などで高くなる傾向が認められる。 沿道土壌の放射性セシウムは、阿賀野市内の神社・寺院等から採取した一般土壌の放射性セシウム濃度(9〜33 Bq/kg)と比較しても2倍以上の濃度で、福島原発由来の短半減期Cs-134が検出できる。 原発事故初期に、大気中から道路上に降下した放射性物質は雨などにより道路の両側に集積し側溝に洗い流されと考えられるが、2年半が経過しても沿道に高濃度で存在することから「初期の降下物」が残留していると考えるよりも、車のタイヤ等に付着した放射性物質が汚染地域から新たに運ばれていると考える方が説明が付く。


沿道土壌と近傍土壌のγ線スペクトル





2013年7月15日月曜日

昆虫飼育マット

 昆虫マット

  夏休みの自由研究に使用されるカブトムシやクワガタなどの昆虫飼育用マットをダイソーで入手し、放射性セシウムによる汚染を調査してみました。

  昆虫マットには、「腐葉土」や「朽木粉砕おがくず」などが使用されていますので、放射性セシウムによる汚染が疑われています。(多くのメーカーでは、汚染土の高い東日本を避けて、西日本製の「腐葉土」や「朽木粉砕おがくず」を使用しています。)



 ◎ダイソー昆虫マット(「昆虫マット」高発酵・高栄養・プロテイン配合・腐葉土)
    597グラム、50,000秒
    Cs-137(検出限界未満、<1.3 Bq/kg)
    Cs-134(検出限界未満、<1.3 Bq/kg)



◎ハイグレード昆虫マット(「くぬぎ伝説」くぬぎ・ならの朽木を粉砕)
    476グラム、50,000秒
    Cs-137(検出限界未満、<1.7 Bq/kg)
    Cs-134(検出限界未満、<1.6 Bq/kg)





  ※γ線スペクトル上には明確なピークは確認できません。 高エネルギー側のCs-134の領域にはピークは確認できません。 一方、低エネルギー側のCs-134の領域にはBi-214の影響が見られます。 「昆虫マット(朽木、「くぬぎ伝説」)」のCs-137に相当する部位に僅かな膨らみが確認できます。




2013年7月8日月曜日

放射性セシウムが路傍の「コケ」に含まれている

「コケ」(セシウム汚染の指標)

  地衣類やコケが放射性セシウムを濃縮することが報告されているので、阿賀野市に自生している「苔(コケ)」を採取し、γ線スペクトルを観察してみました。

   採取した「苔」から土壌を取り除くために水洗いし、水切り後に新聞紙上に広げて乾燥後NaIシンチレーションカウンターで測定し、ガンマー線スペクトルを得た。

  γ線スペクトル上には、福島原発事故由来の放射性セシウム(Cs-137、Cs-134)に加えて、宇宙線により大気中に生成する放射性ベリリウム(Be-7)のピークが観察された。  同じ阿賀野市内で採取した「コケ」でも、放射性セシウムが含まれていない「コケ」もあるため、現在、「コケ」に含まれるセシウム濃度と採取地点との地理的関係から放射性セシウムの供給源を調査中






  ※大気中のBe-7、天然のラドンやその娘核種は、植物の呼吸によって植物体の葉に取り込まれるため、しばしば植物サンプルのγ線スペクトルに現れる。 半減期の短いラドンの娘核種(Bi-214、Pb-214)はエイジングによって減少するため、γ線スペクトルで区別可能。

学校給食食材検査

学校給食食材検査

  東日本における学校給食食材検査の実施状況を、文部科学省の公表データーから抜粋して、まとめてみました。 食材のスクリーニングで使用されているの はNaIシンチレーション検出器が多く、検出下限値も最大で25 Bq/kgを採用しており、厚生労働省が定める「下限値 25 Bq/kg(スクリーニングの技術的要件)」を満たしているが、新潟県のみ基準に適合していない状況が継続している



学校給食における放射性物質の検査結果(文部科学省)
食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について(厚生労働省)

用水路堆積泥中の放射性セシウム濃度変化

用水路堆積泥の放射性セシウム

 昨年に引き続いて用水路に堆積している「泥」を採取し、放射性セシウムの濃度を求めた。 定点測定の数値変動を見ると、全体的に下降傾向は認められるが、流れが緩やかな地点では変動が少ない。

 用水路と同様に、阿賀野川の河川水を水道源水として使用している新潟市や阿賀野市の浄水発生土数値も放射性セシウム合算100 Bq/kg 以上で推移している。

 

2013年3月20日水曜日

お知らせ

お知らせ

 昨年(2012年)、「あがのラボ」が独自に調査した阿賀野市内の環境放射能調査について、お話する機会をいただきました。 興味をお持ちの方は是非に足をお運び下さい(無料です)



   尚、大変申し訳ありませんが、測定結果の公表が遅れております。 近日中にまとめて公表いたします。